個人事業主・フリーランスなら小規模企業共済に入るべき?退職金と節税メリットを解説
私は現在、フリーランスの理学療法士として活動しています。
組織に属さずに働くようになって感じるのは、フリーランスには自由がある一方で、会社員時代には当たり前だったものを自分で準備しなければならないということです。
その代表的なものが、年金と退職金です。
組織に属する大きなメリットは社会保障
病院や施設などに勤務していると、多くの場合は厚生年金に加入します。勤務先によっては共済制度に加入するケースもあります。
また、健康保険についても、会社員であれば保険料を勤務先と折半する仕組みになっています。厚生年金についても同様に、保険料の半分を勤務先が負担してくれます。
これは個人事業主になってから改めて気づいたことですが、かなり大きなメリットです。
会社員として働いていると、給与から自動的に引かれているため、あまり意識しないかもしれません。しかし、組織が社会保障の一部を負担してくれていることは、実は非常にありがたいことなのです。
もう一つ大きいのが退職金
もう一つ会社員の大きなメリットがあります。
退職金です。
もちろん勤務先や勤続年数によって金額は大きく異なりますが、長期間勤務すれば、まとまった退職金を受け取れる職場もあります。
これまでの日本では、長く同じ組織に勤務し、定年時に退職金を受け取り、その後は年金で生活するという人生設計が比較的一般的でした。
今後も同じ仕組みが続くかどうかは分かりませんが、少なくとも個人事業主には、会社が用意してくれる退職金はありません。
自分で準備しなければ、ゼロです。
それでも私がフリーランスを選ぶ理由
では、社会保障や退職金という大きなメリットがあるにもかかわらず、なぜフリーランスになるのでしょうか。
私にとって一番大きいのは、やはり自由です。
働く時間、仕事の内容、付き合う人、どの仕事をどれくらいやるのかを、ある程度自分で決めることができます。そして、自分が頑張ったことが自分の収入につながりやすいというのも魅力です。
組織に所属していれば、基本的には給与体系が決められています。
良く言えば平等です。ただ、見方を変えると不平等でもあります。
仕事ができる人が多くの仕事を引き受けたり、誰かのミスをフォローしたりしても、それだけで大幅に給料が増えるわけではありません。
さらに組織では、人間関係や上下関係、部署間の調整など、仕事そのものとは違った部分にもエネルギーを使います。
その代わり、毎月安定して給与が支払われ、社会保障があり、勤務先によっては退職金もあります。
特に病院や医療施設は、一般企業と比べれば比較的安定して働ける職場です(でした?)。
つまり、
「安定と保障を得る代わりに、組織のルールに従う」
のが会社員であり、
「安定や保障の一部を手放す代わりに、自由を得る」
のがフリーランスとも言えると思います。どちらが良い、悪いという話ではありません。
ただ、フリーランスを選ぶのであれば、会社員時代に勤務先が用意してくれていた保障を、自分で作っていく必要があります。
個人事業主なら知っておきたい「小規模企業共済」
そこで私が個人事業主におすすめしたいのが、小規模企業共済です。これはセラピストだけに関係する制度ではありません。
一定の条件を満たす個人事業主や小規模企業の経営者などが加入できる、いわば「経営者・個人事業主のための退職金制度」です。
運営しているのは、独立行政法人中小企業基盤整備機構です。
毎月の掛金は1,000円から7万円まで、500円単位で自分で設定できます。しかも、途中で増額・減額することもできます。
毎月7万円を積み立てれば、年間では84万円です。
10年間で840万円、20年間なら1,680万円の掛金になります。
自分で退職金を作っていくようなイメージです。
最大のメリットは、掛金が全額所得控除になること
小規模企業共済には大きなメリットがあります。
掛金の全額が所得控除になることです。
例えば毎月7万円なら、年間84万円を所得から控除できます。
単純に84万円が税金から引かれるわけではありませんが、課税される所得を減らせるため、所得税や住民税の負担を軽くすることにつながります。
つまり、
老後や廃業後のためのお金を積み立てながら、現在の税負担も軽減できる、という仕組みです。
個人事業主にとって、これはかなり大きなメリットだと思います。
お金が必要になったら貸付制度も使える
もう一つ私が魅力を感じているのが、契約者貸付制度です。
一定の条件を満たせば、それまでに積み立てた掛金をもとに、お金を借りることができます。
一般貸付の場合、加入後の貸付資格判定時までに12か月以上の掛金を納付していることなどが条件となります。
借りられる金額は、掛金や納付期間によって異なりますが、掛金の7〜9割程度の範囲内です。一般貸付では10万円以上2,000万円以内となっています。
一般貸付の現在の金利は年1.5%で、担保や保証人も不要です。
事業の運転資金や事業に関連する資金、生活資金などに利用できます。
また、新規事業を始める場合には「創業転業時・新規事業展開等貸付け」といった制度も用意されています。
個人事業主は収入が不安定になる可能性があります。
そんなときに、自分が積み立ててきたお金を土台として比較的低金利で借りられる仕組みがあるというのは、大きな安心材料になります。
いつ辞めても増えて戻ってくるわけではないので注意
ただし、小規模企業共済には注意点もあります。
銀行預金のように、いつ解約しても積み立てた金額がそのまま戻ってくるわけではありません。
特に自己都合で任意解約する場合、掛金納付期間が20年未満だと、受け取る解約手当金がそれまでに支払った掛金の合計額を下回ります。
また、掛金納付期間が12か月未満で任意解約すると、解約手当金を受け取ることができません。
そのため、小規模企業共済は「短期間だけお金を置いておく場所」というより、長期的に自分の退職金を作るための制度と考えた方がよいでしょう。
一方、廃業や退職など所定の条件を満たして共済金を受け取る場合には、一括受取りなら退職所得、分割受取りなら公的年金等の雑所得として扱われるなど、税制上の優遇もあります。
フリーランスは自由と同時に自分で備える必要がある
フリーランスは自由です。
自分で仕事を選べますし、自分の工夫や努力が収入につながる楽しさもあります。
私はそこに大きな魅力を感じています。
ただ、その自由と引き換えに、会社員であれば勤務先がある程度用意してくれていたものを、自分自身で準備しなければなりません。
年金、健康保険、そして退職後のお金。
「会社が何とかしてくれる」というものがなくなるからこそ、自分で制度を知り、使えるものは使っていくことが大切だと思います。
その選択肢の一つとして、小規模企業共済はかなり有力です。
もちろん、収入が不安定な時期に無理をして毎月7万円を積み立てる必要はありません。
掛金は月1,000円から設定でき、収入状況に応じて変更することもできます。
ある程度安定した事業収入があり、今後も個人事業主として仕事を続けていくのであれば、一度は検討しておいてよい制度だと思います。
フリーランスには退職金がありません。だったら、自分で作る。
会社員時代にはあまり考えなかったことですが、個人事業主になった今、こうした準備も仕事の一部なのだと思っています。
給与所得者に戻ったとしても継続できます
小規模企業共済は、加入後に会社員などの給与所得者になっても継続できます。
ただし!
個人事業を廃止した場合は継続できません。
また、給与所得者になってから新規加入することは原則できないため、個人事業主として加入資格があるうちに検討しておく意味は大きいです。
今、フリーランスだけど将来組織に戻るかもしれない・・・どうしよう。と迷っている方でも入っておいて損はなし!
NISA、iDeCoありますけど、NISAは額を調整できるからいいとして。iDeCoは迷うところですよね。下の表を参考に考えてみてください。
| 小規模企業共済 | iDeCo | |
|---|---|---|
| 主目的 | 個人事業主の退職金 | 老後資金・資産形成 |
| 節税 | 掛金全額所得控除 | 掛金全額所得控除 |
| 運用 | 共済制度 | 自分で商品を選んで運用 |
| 元本変動 | 比較的小さいが、解約時期によって元本割れあり | 投資商品なら元本割れあり |
| 途中で使える? | 貸付制度あり | 原則引き出せない |
| 月額 | 1,000〜70,000円 | 加入区分などで上限が異なる |
| 個人事業主との相性 | かなり良い | 良い |
どちらも特徴が異なるので、どちらもやるのがベストですね。ちなみに私はちょっとずつやっています。どこかに全振りはしていません。
小規模事業共済、とにかくオススメです!
会計士の先生によるYOUTUBE動画も上がっていますので参考にしてみてください。個人的にはスガワラさんのが分かりやすいかな・・・↓
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